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2010 年度 実績報告書

価格形成プロセスと市場特性の実験的解明

研究課題

研究課題/領域番号 22530191
研究機関近畿大学

研究代表者

谷口 和久  近畿大学, 経済学部, 教授 (80268242)

研究分担者 中島 義裕  大阪市大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40336798)
キーワード価格形成 / 市場特性 / 板寄せ市場 / ザラバ市場 / ダブル・オークション / 人工市場 / 実験経済学 / U-Martシステム
研究概要

交付申請書の研究計画に基づき8月から9月にかけて,人工市場実験を実施した。実験に協力した学生は延26名である。実験参加者に多様性を持たせるために,人間だけによる実験と,コンピュータ・プログラム・マシンも参加する実験を行った。また市場特性を調べるために,板寄せ方式とザラバ方式の実験を行った。実験回数は計24回になった。
実験の結果から,次のようなことが判明した。約定率と約定枚数に関しては板寄せとザラバで顕著な相違が現れた。約定率は板寄せでは約50%であるのに対して,ザラバでは100%に近くなった。特に人間だけが参加した実験で,約定率が高くなった。約定枚数に関しても,ザラバの方が板寄せの約2倍近くになった。原因・理由の解明は今後の課題であるが,実験によって証券市場での約定率や約定枚数を増大させるためのヒントが発見できた。
また,ワルラスは『純粋経済学要論』でパリやロンドンの証券取引所に入って価格形成の過程を分析しているが,その市場は板寄せ市場に近い。ところが今回の実験では,ザラバ市場では需給不一致の状態の継続することが判明し,ワルラスの想定した需給一致に基づく価格決定の基本的な分析の枠組みは使えないことが分かった。人工市場研究の優れている点は今まで知られていなかった経済現象を発見できることにあるが,発見された事実を経済学は説明できなければならない。研究の一部はすでに本年3月20日に進化経済学会名古屋大会の「マルチエージェント・社会実験」のセッションにて報告したが,価格形成の理論的分析の枠組みとして,オーストリア学派理論が提供している企業家的発見の市場過程論(マーケット・プロセス論)と融合させ,それに基づく理論を構築する必要があると考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 人工市場実験から見える市場の働き-需給の一致の後に何が残るのか-2011

    • 著者名/発表者名
      谷口和久
    • 学会等名
      進化経済学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2011-03-20
  • [学会発表] Development of an Artificial Market System for Analysis of Institutional Issues in Financial Markets2010

    • 著者名/発表者名
      Yoshihito Akimoto, Naoki Mori, Isao Ono, Yoshihiro Nakajima, Hiroshi Sato, Hiroyuki Matsui, Hajime Kita, Keisuke Matsui
    • 学会等名
      SCIS&ISIS2010
    • 発表場所
      Okayama Convention Center
    • 年月日
      2010-12-09
  • [学会発表] ザラバを考慮したU-Martシステムversion3.0におけるエージェント開発2010

    • 著者名/発表者名
      秋元圭人, 森直樹, 松本啓之亮
    • 学会等名
      システム・情報部門学術講演会
    • 発表場所
      キャンパスプラザ京都
    • 年月日
      2010-11-26
  • [学会発表] U-Martシステムversion3.0におけるザラバを考慮したエージェントの開発2010

    • 著者名/発表者名
      秋元圭人, 森直樹, 松本啓之
    • 学会等名
      第54回システム制御情報学会研究発表講演会
    • 発表場所
      京都リサーチパーク
    • 年月日
      2010-05-20
  • [備考]

    • URL

      http://www.eco.kindai.ac.jp/tani/index.html

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公開日: 2012-07-19  

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