本研究の目的は、スラッファ編『リカードウ全集』刊行(1951年-1973年)以来の日本のリカード研究と欧米のリカード研究の状況を比較することを通して、両者間の異同、各々の特色を解明することである。このために平成22年度は以下の作業を実施した。 (a)研究課題に関連する資料・文献の調査・収集を実施した。また、リカードウ国際会議(「生産と分配」2010年9月4日-6日、「貨幣・金融理論とリカードウ」2011年9月14日-15日)、経済学史学会全国大会(2010年5月22日-23日)、マルサス学会(2010年7月10日)他の機会を利用して、内外の研究者からの情報収集に努めた。 (b)特に最近20年間の研究史に焦点を絞り、日本のリカード研究と欧米のリカード研究に関連する資料・文献の包括的な整理・検討を実施した。1950年代から1980年代に至る欧米のリカード研究史は日本でもすでに十分に検討されているが、1990年代以降の研究史の整理・検討は未だに追いついていないのが現状である。従って、本研究の遂行のためにも、この間の研究史の整理・検討は急務であった。 (c)1990年代以降の日本のリカード研究と欧米のリカード研究の整理・検討を踏まえて、その内容を口頭及び論文の形で発表する準備を進めた。これらは当該年度中には実施するに至らなかったが、次年度の実施に向けて準備をほぼ完了し、かつ今後の研究課題の遂行のための土台とすることができた。 ※リカードウ国際会議(貨幣・金融理論とリカードウ)は2011年3月の震災の影響により、その実施が次年度に延期になったものである。
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