研究概要 |
本研究の目的は、レオン・ワルラスの経済学体系のうち、所有や税の問題を扱った「社会経済学」を、その成立過程に注目することによって解明し、ワルラスの業績として有名な一般均衡理論(純粋経済学)との理論的・思想的関連に新しい光をあてることである。これによって、ワルラスが「公正と効率」の両立という経済学の根源的なテーマにどう取り組んだのかを明らかにし、ワルラスを源流とする現代経済学の再解釈や今後の可能性を示唆することを目標としている。 本年度は、昨年度に引き続き、ワルラスの大著『社会経済学研究』の翻訳作業を続けた。また昨年度完成した英語論文(ワルラス社会経済学の形成過程にかかわりワルラス父子の稀少性概念における連続性と断絶の解明をテーマとする)を、6月に公刊した。“Transforming of rarete? From Auguste to Leon Walras”, Ikeda, Y. & Yagi, K. (eds.) Subjectivism and Objectivism in the History of Economic Thought, 59-72, Routledge, London & New York, 2012. 同論文は、9月にフランスのトゥールーズで開催された国際ワルラス学会(AIW)で報告した。
|