研究課題/領域番号 |
22530198
|
研究機関 | 埼玉学園大学 |
研究代表者 |
村田 和博 埼玉学園大学, 経営学部, 教授 (00300567)
|
キーワード | アダム・スミス / C.バベッジ / 分業 / 協働 |
研究概要 |
平成23年度は、アダム・スミスからJ.S.ミルに至るイギリス古典派経済学期の文献から読み取れる企業像を経営組織の観点から考察し、その研究成果を論文「A.スミスとC.バベッジの分業論」として『埼玉学園大学紀要 経営学部篇』において公表した。その論文の概要は、以下のとおりである スミスは分業のメリットとして、熟練形成の効率化・知識の専門化、機械の発明と機械的分業の効果、規模の経済、および段取り替えの時間の節約の4点を指摘し、一方、バベッジは、スミスの4つの分業の利益に共通費の配賦と経済的スタッフイングという2つの分業の利益を追加することができた。彼らの分業論の論述内容をこのように整理することができるとすれば、彼らの主張は現代経営学で指摘される分業のメリットのほぼすべてを網羅しているといえる。 しかし、その一方で、彼らの分業論には経営組織論的観点から問題点があることも明らかになった。つまり、分業を導入すれば、組織的調整が必然的に必要になるが、彼らは、少なくとも、企業内の組織的調整について詳らかにすることはなかった。この調整を担う主体が管理者であるが、彼らは組織的調整を明確に認識できなかったためか、管理職能も軽視することになった。 また、分業に伴う職務の専門化には、退屈、欲求不満、選択の自由の制限などのデメリットが伴い、これらデメリットが労働者のモチベーションを低下させることが広く知られている。スミスは、分業に伴う問題点として知的、社会的、軍事的徳の低下について言及するが、それは労働のモチベーションと関係して検討されてはいなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目的のうち、組織論的特質に関する分析は23年度でおおよそ終わり、本年度から人的資源管理的観点からの分析へと進むことができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
イギリス古典派経済学期における企業分析の経営組織論的特質に関する研究成果を報告するとともに、人的資源管理論的観点からの研究に着手する。
|