研究概要 |
最終研究年度として、研究成果の発表に力点を置いた。 第一に、1970年代の経済政策思想に大きな影響を及ぼしたミルトン・フリードマンについて、研究展望と歴史的評価を行う論文を書いた。そこではフリードマンの巨大な業績が現在でも論争の的であるという意味で現代にも生きていることを示した(「歴史としてのミルトン・フリードマン:文献展望と現代的評価」(『経済学史研究』第54巻第1号、2012年7月、22‐42頁)。 第二に、70年代初頭に起きたブレトン・ウッズ体制の崩壊の歴史的意義について論じた(「グローバル化と貨幣―ジョン・ロックからベン・バーナンキへ―」経済学史学会ほか編『古典から読み解く経済思想史』ミネルヴァ書房、2012年5月、37-61頁)。 第三に、日本の経済政策思想については、日本のケインズ主義の特質(「日本のケインズ主義に貨幣理論がないのはなぜか」岩田規久男・浜田宏一・原田泰編『リフレが日本経済を復活させる:経済を動かす貨幣の力』中央経済社、2013年3月、249-285頁)と、日本銀行の金融政策思想を論じた("Central Banking, Japanese Style: Economics and the Bank of Japan, 1945-1985," History of Economic Thought and Policy, Vol.2, No.1, 2013, pp.141-160)。 第四に、70年代を含む経済政策思想が現代の経済危機にもつ教訓について論じた。政策思想は政策を制約し、政策の方向を決めうる(“Turning Japanese? Lessons from Japan’s Lost Decade to the Current Crisis,”Columbia University, December 2012)。
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