研究課題/領域番号 |
22530211
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
細谷 雄三 明星大学, 経済学部, 教授 (40004197)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 修正Box-Cox変換 / 経済時系列 / 周波数領域表現 / 因果性測度 / スペクトル正準分解 / 統計的漸近理論 |
研究概要 |
本研究(22-25年度)は、多変量時系列相互間における従属関係の統計的手法の開発を目的として、具体的には以下を課題とするものである:(1)有理関数スペクトル密度行列正準分解法にHosoya-Takimoto(2010)論文が提案した逐次法を取り入れることにより、Hosoya(2001)が導入した偏因果諸測度の数値的計算を実行可能とする。(2)データの修正Box-Cox非線形変換モデルを用いることにより、非ガウス多変量過程の予測=因果分析の分析に資する。(3)因果測度の推定・検定を実経済データの経験分析に応用する。非線形変換定常過程の漸近的推測理論、とくにモンテカルロ検定法を、経験分析に適用する。 従来の因果測度の構成は、将来値の線形予測を基本としているが、対象としている時系列が非ガウス過程であるときには、平均二乗誤差基準において、これは必ずしも最適ではない。非ガウス過程では、条件付期待値は線形関数とは一般にならないし、条件付期待値が観測値の陽表的な関数として得られることは時系列モデルでは例外的である。とくに、平成24年度の研究においては、非ガウス時系列において因果測度周波数領域分解を線形予測理論と平行して考察するために、Hosoya-Terasaka(2009)とHosoya-Takimoto(2010)の両論文で提案した方法を結合し、データの非線形変換によりガウス近似を改善することにより、変換ARMAモデルの線形予測に対して因果分析を適用する接近法を開発した。この接近法では、これまで本研究者が開発した因果分析法を取り入れて、非ガウス過程の因果分析が実行可能となる。この方向での理論面での展開を追求すると同時に、イールド・スプリットと経済成長の因果関係、ボラテリティ予測の文献を広く渉猟して、先行研究を整理し、次年度以降の研究へ向けて準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度では、本研究に関連する理論的展開を行うと同時に、経験分析の先行研究の調査および本研究者のこれまでの研究成果との比較研究を行った。これらは、一応順調に進行している。具体的には、非ガウス時系列において因果測度周波数領域分解を線形予測理論と平行して適用するために、Hosoya-Terasaka(2009)とHosoya-Takimoto(2010)の両論文で提案した方法を結合し、データの非線形変換によりガウス近似を改善することにより、変換ARMAモデルの線形予測に対して因果分析を適用する接近法を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究主題である非線形変換を線形時系列モデルに導入して因果測度を計測する問題は、理論的には、おおむね解決している。数値計算においては、まだ収束が非常に遅いなどの問題が残存している。とくに、偏一方向効果測度の数値計算として理論的に予想されることがらと数値計算結果に不整合が見られる。25年度の研究においてこの点での問題解決が主要な課題である。マクロ経済活動の予測量の経験分析のこれまでの先行諸研究に対する、本研究の位置づけ、および貢献については、より明確化することができた。
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