研究課題/領域番号 |
22530217
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
根本 敏則 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (90156167)
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キーワード | 対距離課金 / 財源調達 / 幹線道路 / 道路設備 / 受益者負担 |
研究概要 |
1.対距離課金制度の比較分析 1)対距離課金、財源調達制度の比較、評価 諸外国の対距離課金制度の比較検討を通じて、わが国への制度導入にあたって検討が必要な課題について整理した。なお、欧米の課金、財源調達制度の比較、評価にあたっては、平成22年度に実施した「対距離課金、財源調達制度のサーベイ」の研究内容に基づき、分析を行った。分析に当たっては、欧米の課金、財源調達制度が成り立つ当該実施国における特有の環境の追加調査を行った。これにより、それぞれの環境や要因と実施制度の関係性を明確にすることができた。 たとえば、スイスではアルプス山脈の通過ルートを国内に持っているため、年々国内を通過する貨物車交通量が増加している。これに伴い、貨物車による道路の損傷や環境問題が顕在化しており、大型貨物車への対距離課金制度が実施されている。この課金による収入は、損傷した道路の整備に加え、通過交通を減少させるために他の交通インフラ整備の財源に充当している。具体的には、この課金による収入の1/3は州政府へ、2/3は連邦政府へと配分されており、州政府は主に大型車による損傷費用の回収に、連邦政府は公共交通整備の財源、特に鉄道の改良、アルプス越え鉄道の整備、ヨーロッパ高速鉄道ネットワークの整備に充当している。 2.対距離課金制度の実証分析 1)短期、長期道路費用関数の推定 費用および負担データを用いて、被説明変数として短期平均費用および短期限界費用を用いた関数の推計を試みた。交通量(需要)、道路容量(供給)およびその他の諸要因を説明変数とした。また、長期道路費用関数の推計に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.欧米の課金、財源調達制度に関しては、計画通り資料収集できた。 2.道路別の建設費用、維持管理費用のデータベースも構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度(最終年度)で対距離課金による道路整備のシミュレーション分析を行う。「地域ごと」、「車種ごと」、「道路種別ごと」といった「費用と負担の一致の観点」からシミュレーション分析を行い、望ましい道路計画のあり方を検討する。そのうえで、対距離課金制度、道路計画制度について提案を行う予定。具体的には、(1)経済的な短期最適化・長期最適化を図る対距離課金制度、道路計画制度の提案、(2)人口減少時代においても社会的に受容される対距離課金水準、および課金収入の使途に関する提案を行う。また、学会での論文発表も予定している。
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