研究課題/領域番号 |
22530222
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
浅利 一郎 静岡大学, 人文学部, 教授 (50115432)
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研究分担者 |
土居 英二 静岡大学, 地域連携協働センター, 特任教授 (30126784)
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キーワード | 連結産業連関表 / 並列的連結 / 垂直的連結 / 地域経済再生 / 政策効果分析 |
研究概要 |
【当該年度に実施した研究の成果】 「研究の目的(ポイント)」地域のグローバル化の進展を前提に、包括的かつ統一的に整備されている地域内産業連関表を基礎に、「全国表-都道府県表-市レベル地域表」を統合する地域間連結産業連関表による分析方法を開発し、地域経済再生のための政策効果シミュレーション手法の開発を行う。 「研究の目的に照らした成果」浅利一郎(研究代表者)は同上の3地域間の「垂直的」連結産業連関表の理論モデルの開発を、土居英二(分担研究者)は、浅利一郎の理論モデルを基礎に全国表-都道府県表-市レベル地域表を連結する上で不可欠となる交易係数について、既存のLQM法に代わる新しい推計方法を開発した。交易係数の新しい推計方法は、既存の2005年都道府県産業連関表データから得られる2つの規則性((1)物財産業部門の生産額合計ΣXiと、同部門の移輸出額合計ΣEiとが、複数県を事例にプロットすると経済規模に応じて綺麗な非線形曲線を描く、(2)都道府県の産業連関表の物財産業部門の各生産額Xiと移輸出額Eiが、綺麗な線形性を有する)から導出する内容である。また国土交通省「物流センサス」の市町村間の貨物流動量調査データを用いた交易係数の開発も検討している。また、政策効果シミュレーションの事例として、全国-静岡県-浜松市の3地域間連結産業連関表を作成し、東海大地震による被災予想に対応したスズキ自動車掛川工場の内陸部浜松市へ大規模な工場移転計画を取り上げ、シミュレーションの分析手法の開発を行った。 「研究実施計画(ポイント)」市町レベルの地方自治体と共同研究を行い、本研究に必要な基礎データを作成し、Non-Survey法による交易係数の推計を行う 「研究実施計画に照らした成果」静岡県の浜松市内研究機関、藤枝市、焼津市との協力を得て、各市の産業連関表を作成するとともに、浜松市-静岡県-全国の3地域間連結産業連関表を開発した。成果の一部は「完全分離法の垂直的拡張による他地域間連結産業連関表の理論と手順」として公表した(13参照)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(平成22年度)は、地域間連結産業連関表の並列的連結の理論と実際的手順を開発し、静岡県、東京都他6都県と全国の並列的連結産業連関表を作成し、それを用いて地域政策効果の波及効分析を行なったが、2年目である平成23年度には、本研究プロジェクトのもう一つの課題である地域間の垂直的連結のための理論および実際的手順の開発と、浜松市-静岡県-全国の垂直的連結表の作成に取り組み、連結産業連関表の完成自体は翌年度になるが、研究はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
【完全分離法の垂直的拡張による実証研究を行う-申請時の計画】 最終年度にあたる来年度は、申請時に計画していた予定の研究を行う。 垂直的拡張は、本年度作成が完了している全国-静岡県-浜松市の連結産業連関表を用いて、当初の予定である「(1)自動車の輸出額変動の効果」「(2)農商工連携による優れた農産物の輸出効果」、「(3)ビジットジャパン計画の経済効果」の地域経済効果について、それぞれ浜松市と静岡県を対象に、地域内表と地域間表との算出結果を比較検証する。いずれも「輸出」に係る影響調査であるが、(1)は第二次産業、(2)は第一次産業、(3)は第三次産業の違いがありその効果の比較を行いたい。研究にあたっては、地元自治体との協働により効果的に研究を推進する予定である。
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