研究課題/領域番号 |
22530225
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
溝端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 多国籍企業 / 直接投資(direct investment) / オフショア(offshore) / コーポレートガバナンス / 立地(location) / 新興市場(emerging market) / 制度(institution) / 動機(motivation) |
研究概要 |
本研究は、ロシア多国籍企業の形成要因、経営戦略を分析するとともに、市場移行諸国・先進国の多国籍企業と国際比較を行い、それを通じて最先端の多国籍企業理論の構築に貢献することを目的としている。平成24年度に、現地での聞き取り調査(11月)を交えて主に企業の動機と経営戦略に焦点をあてて実証研究を行うとともに、そうした多国籍化が新興市場において占める位置を検討した。本研究成果として、企業の動機において本国の経済制度が強く働いていること、政府の役割が誘導的であることを実証的に明らかにするとともに、オフショアへの投資とそこからの還流あるいは再投資と本国国内制度の強い影響力において中国のケースとロシアのケースには類似性が見られるが、旧ソ連の特殊な権益圏が多国籍化の基盤になっている点でロシアの独自性が存在することを析出している。また、平成24年度には、とくに企業内に働くステークホルダーの動機についても共同研究プロジェクトの一環として検討し、本課題の接近に取り込んでいる。 平成24年度には国際学会での成果公表に重心をおいた。9月に欧州比較経済学会で、11月に韓国アジア経済コミュニティフォーラムで、1月にブリストル大学(イギリス)で、3月にWEAIおよびアジア経済研究機関ワークショップでそれぞれ報告し、本研究がロシア企業の実証研究だけでなく先端的な経済理論研究にも深くかかわっていることを主張した。同時に、新興市場経済が世界経済にもつ位置に関して研究報告を行った。 本研究課題に関連して、①世界経済危機の動向、②ロシアの近代化の動態、③企業のコーポレートガバナンス研究についても研究を進め、いずれの課題についても適時研究成果を公表している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロシア多国籍企業の実証研究を世界的に発信すること、当該の専門研究者との国際的な研究ネットワークを構築することを目標にしてきたが、その点では順調に成果が得られている。ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所のA.クズネツォフ教授および前年に招聘したB.へイフェツ教授と共同研究を深めるとともに、アジア圏研究者との交流も広げた。 研究成果は順調に論文・図書の形で公表している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は国際会議でこれまでその成果を適時報告してきたが、多国籍企業、比較経済学分野における国際会議で比較可能となるような会議を組織することで、今後の研究の枠組みを広げる。国際的な共同研究を引き続き強化するとともに、コーポレートガバナンス研究の側面に重心をおいてロシア企業に関する研究を単著の形で取りまとめる。 さらに、本研究にかかわって、世界に通用するロシア企業・比較企業に関する若手研究者の育成にも貢献する。
|