研究課題/領域番号 |
22530227
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
フラス ディビッド 大阪大学, 社会経済研究所, 特任教授 (60514370)
|
キーワード | 双方向市場 / 再販価格維持 / 新聞業者 / カルテル |
研究概要 |
この研究の目的は、日本の新聞業界を中心に、双方向市場を分析することです。双方向市場には、供給者が二つの買い手集合の間に介入し、少なくても一つの集合の需要がほかの購入金額に依存しています。新聞の市場は、双方向市場の良い例です。なぜかというと、新聞社が購読料を決定するのに、広告主の需要の影響を考えなくてはいけないからです。この研究の主な目的は、新聞の発行需要と広告需要の理論的なモデルを使って、統計学的なモデルを構築することです。その推定量を用いて、新聞の再販価格制度の影響を量ります。というのも、もし再販制度がなければ、新聞の利潤、消費者と広告主の利益、新聞業の組織は、どのように変わるでしょうか。 研究実施計画では、新聞の朝刊における夕刊の記事や広告の割り方法がもう一つの研究課題になりました。全国紙と大手の地方紙が購読者に朝刊だけの購読か、朝刊と夕刊一緒の購読かの選択を提供します。朝刊と夕刊一緒の購読を選択する世帯は、世帯収入がより高くなります。それ故、夕刊の広告が効果的になります。これを上手くやるために、朝刊の内容ページ数を少しだけ減らして、世帯収入がより高い夕刊購読者を、朝刊だけの購読にさせないようにします。このような現象について、まだ考察を続けています。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
思ったより、新聞の需要を推定できました。全国紙需要の購読料に対する弾力性は2.0あることが分かるようになりました。地方紙はこれより、少し低いです。新聞ページ数にたいする弾力性は、0.5であることも推定できました。 この経過は、JREADのサーベイ資料を使って、NLOGITというソフトでmixed logitモデルを推定します。しかし、新聞による購読料の偏差は、まだ調査中です。
|
今後の研究の推進方策 |
研究目的を達成するために、昨年は、資料を集めてコンピューターに入力し、分析を開始しました。研究に欠かせない資料は、日本における新聞についての、近年に於ける年毎の、発行部数、購読料、広告量、広告の基本料金、新聞の総ページ数などです。現在、それらのデータを集め終わりました。また、J-READという調査資料を購入しました。この資料内容は、各新聞の読者にみられる特徴を調査するためのものです。 このJ-READという調査資料を、分析出来るフォーマットに変えるために、複雑な過程を必要としたため、多くの時間を費やしました。最終的には、28,000人分の新聞購読者の資料をコンピュータに入力しました。この資料を用いて、新聞の発行需要関数を推定しました。日本の各々の新聞の購読料金弾力性と交差弾力性をmixed logitモデルで推定できました。この結果に基づいて、大手新聞の並行料金設定行動の実際の影響が分かるようになるはずです。これが、本年の主要な計画です。それについて、論文を書き、ウェブ上に掲載し、研究大会で発表します。
|