この研究は、秋田県八郎湖を事例として、環境資源の価値と外来生物法が環境資源の価値に及ぼす影響を、経済学的立場から評価することを目的に3年間の研究プロジェクトとして始められた。平成 22 年度は、八郎湖の歴史、自然、人々の暮らしに関する基礎調査、および次年度行うアンケート本調査に先駆け、試験的に小規模で行う予備調査を実施した。 平成 23 年度は八郎湖のレクリエーション価値の本調査を行った。調査は、現地におけるアンケートを数回行う予定であったが、店舗来客人数等の代替データ使用で調査回数の削減ができることが判明し、調査を一回のみ行った。一方、非訪問者にも調査範囲を拡大することでより詳細な価値評価につながることが期待されたため、新たに現地訪問者以外にもアンケート調査を行った。アンケート調査で得られたデータは主に旅行費用法を用い、八郎湖のレクリエーション価値を試算した。 推定された利用価値は2011年のGW期間中に限れば平均値ベースでは約11百万円であった。県の調査および釣具店データを基にした2003年の推定値との比較では、2011年はGW期間で約5割(21百万円→11百万円)から約8割(48百万円→11百万円)の減少が見られた。また、釣具店データによる年間推定値では、平均値ベースで2003年から2011年の間に環境価値は3分の1以下(6.1億円→1.8億円)に減少した。レクリエーション価値の減少は外来生物規制法の施行時期と重なり、その潜在的な強い影響が推測された。
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