近藤は少子高齢化に直面する先進工業国が、外国人労働者を受け入れるにあたって、必要な量を確保しつつ、質的な側面で一定水準を満たすために、とりうる政策の有効性について理論的に研究した。一定の条件のもとでは、EPAなどを通じて受け入れた外国人に国内で必要な知識や技能を身につけさせる政策において、必要とされる訓練期間のみを提示し、受け入れる外国人の総量は内生的に決定する政策が望ましく、訓練期間の変更や資本移動の促進、非合法移民への罰則の強化などの政策が、受け入れ国経済の厚生水準の引き上げに役立つことが示された。この研究はAPJAEの17-1号巻頭に掲載された。 藪内は多国籍企業の進出に規制がなされている状況の下で、外国人労働者の受け入れが熟練労働と未熟練労働の賃金格差に与える影響についての分析を行い、移民の受け入れが賃金格差を縮小させる可能性を指摘した。結果はローザンヌで行われた国際学会(ETSG)で報告されるとともに、依頼原稿としてカルカッタ大学発行の学術誌に掲載された。 さらに、近藤と藪内は共同研究として、環境汚染を引き起こす工業財生産部門に対して、環境汚染抑制装置を提供する公的部門が運営する産業が存在する、拡張された小国Copeland and Taylorモデルを用いた分析を開始した。都市部門に最低賃金制度とそれにともなうHarirs and Todaroタイプの失業を導入し、環境税や賃金政策、外国人労働の受け入れなどの経済効果についての分析を行っており、現在継続中である。
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