研究課題/領域番号 |
22530245
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
楠田 康之 日本福祉大学, 経済学部, 准教授 (60253689)
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キーワード | 構造推計 / 動学的寡占ゲーム / 完全マルコフ均衡解 |
研究概要 |
平成23年度の研究目的は、動学的寡占モデルの本格的な実証研究の開始であった。具体的な作業としては、構造推計手法の模索とその頑健性のチェック、そして競争政策の再評価と改善点の提案に着手することを予定していた。 実証研究の成果としては、前年度に作成した研究計画書「ビール類市場の需要分析」にもとづき、論文"Nested Logit Demand Estimation in Japanes Beer-like Beverage Markets"を執筆し、「日本経済政策学会」The 10th International Conference(平成23年11月20日、関西学院大学)で報告した。この研究は動学的寡占モデルに関するものではないが、その基礎となる静学的な需要推計モデル(BLPモデル)を用いてビール類市場においてビール、発泡酒、第3のビールの実証研究を行ったものであり、平成18年5月の税制改正が及ぼした影響について精緻に分析したものである。これにより、BLPモデルを用いることでネステッド型市場の需要が明確に推計できることを明らかにした。 続いて、動学的寡占モデルの研究として、スーパーおよびコンビニエンスストアの参入・退出ゲームを対象とすることにし、関連する販売情報データを平成23年度の予算で購入した。さらに、電話帳等をもとに名古屋市のスーパーおよびコンビニエンスストアの住所をデータベース化し、周辺のライバル数によって参入・退出行動がどのように影響されるのかを動学的寡占モデルによって分析している。膨大なデータベース入力作業のため、分析はまだ途中段階であるが、次年度前半の完成を目標としている。これにより、できるならば参入規制等の競争政策に対する一定の評価を目指す。 平成22年度に執筆した論文「参入・退出をともなう動学的フランチャイズ市場と再販売価格維持」は、日本福祉大学『経済論集』第43号(平成23年9月)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度中に、動学的寡占モデルの構造推計の実証分析には入ることができた。ただし、最終的な目標である競争政策のための政策提言には着手できていない。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定した通りの計画を進めていく。研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は現在のところ認められない。
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