研究概要 |
平成24年度の研究目的は、これまでの研究結果を総合し、新しい推計手法の完成とその提案を目標とすることを予定していた。 その具体的目標として、動学的寡占ゲームモデルに関する数値計算プログラムの設計と開発を行い、構造推計手法の模索と頑健性のチェックを行うこととした。そのために、研究対象として、スーパーマーケットおよびコンビニエンスストアの参入・退出ゲームを選択し、関連する販売情報データを平成23年度および平成24年度の予算にて購入した(それぞれ、6アイテムおよび4アイテム)。さらに電話帳等をもとに名古屋市のスーパーマーケットおよびコンビニエンスストアのデータベースを作成した。分析で用いた理論モデルは、主にPakes, A., M. Ostrovsky, S. Berry, "Simple estimators for the parameters of discrete dynamic games (with entry/exit example)" (RAND Journal, 2007)にしたがい、将来に渡り市場で活動を続けた場合に得られる expected discounted continuation value の計算を行った。これにより、参入コストおよび退出利益に関する構造パラメーターの推計が数値計算により可能となり、それらのパラメーターをMCMC法(Markov chain Monte Carlo methods)にて求めるプログラムの設計と作成を完了させた。パラメーターの推定に MCMC法を用いたことが本研究の特徴となっており、収束のチェックが容易であることより、新しい推計アルゴリズムとして提案できるものとなっている。
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