平成24度の研究成果は以下の3つである。 (1)メディア企業は自己目的最大化を目指してニュースを選択し、その報道内容が一般大衆の政治的支持動向に影響を与えることによって政治家の保護貿易政策を求める行動にも影響が及ぶというメカニズムを分析した論文“The political economy of trade policies and the media”の理論分析を完成させた。 (2)輸出自主規制が禁止されたWTO体制下でも、国内の保護主義的要求を満たすために、輸出・輸入国間で輸出自主規制的な解決が図られ得ることを理論・実証の両側面から分析した論文のリヴァイスを行い、論文“Safeguards and Voluntary Export Restraints under the WTO system”に改訂した。その際、日本の野菜貿易の輸出自主規制の新たな事実を実証分析で確認した。 (3)保護貿易政策が実施される主要な要因の1つに、国内における保護主義の高まりがある。保護主義の高まりを地方議会からのセーフガード発動を求める意見書数ととらえ、どのような要因が保護主義を高めるのかということを理論と実証の両側面から分析し、論文“Rise of Protectionist Pressures in Japan's Local Regions” を完成させた。
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