本研究結果によると、まずマレーシアおよびタイの製造業において、多国籍企業のエネルギー性向と現地工場の同性向との差が統計的に有意な場合が少ないことがわかった。またインドネシアの場合でも多国籍企業と国有企業と現地民間工場のエネルギー性向が有意的に異なった場合が少ない。次に、多国籍企業の産業に占める割合とその産業の現地工場(マレーシア、タイ)あるいは現地民間工場(インドネシア)のエネルギー性向との有意的な相関が比較的に多かった。しかし、この相関の推定値が産業標本や年や多国籍企業および国有企業の割合の計り方などによって異なった。つまり、所有形態が工場のエネルギー効率性に強い影響を与えなかった。従って、この三国の製造業のエネルギー効率性を向上する政策目標を立てるに当って、工場の所有形態に注目することは論理的ではない。
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