定期船同盟を欧州連合(EU)競争法の包括適用除外と規定する規則が廃止され、2008年10月18日に欧州発着の全同盟が消滅した。政策管理の欧州委員会(EC)、陳情活動を現在行っている一方の欧州荷主協会(ESC)と他方の世界海運評議会(WSC)、同盟に代わって荷動き・運賃のデータ作成・発行をするコンテナ貿易統計社(CTS)などの動きを、現地意見交換を含めて詳細に調査した。 米国で外航海運輸送政策を策定する連邦海事委員会(FMC)は、TSA航路安定化協定などの政策をすぐには変更しておらず、一方で米議会では同盟・協議協定に対する独禁法適用除外廃止を求める動きはある。この定期船業界政策の明確な世界的ダブルスタンダードにより邦船社など船社や荷主に戸惑いを与え、あいまいさが混乱を招いている。CTS社のデータ活動にも、世界的にAPLと邦船3社のみは不参加という、慎重姿勢をとっている。ESCなども、船社単位で評価をするような眼になってきている。 世界的に議論の注目はコンソーシャム(船社同士の共同の運行・港湾利用・営業活動によるサービス合意)に関して高まっており、ECはコンソーシャムを条件強化した上で競争法から一括適用除外する措置について延長することを決めた。アジア太平洋経済協力(APEC)においては、外航定期船産業における船社間の非価格協定の肯定的な面を生かした提案(市場シェア規制の廃止や非価格協定期間の自由など)をカナダがした。しかし、拘束力のない自発的な討論の場としてのAPECの性格などから、合意を見なかった。27加盟国の強い共同体であるEUの方が大きな決定影響力を世界的に持つようになっている。ESCや世界荷主フォーラム(WSA)もコンソーシャムの競争法の一括適用除外に反対する方向であり、今後が注目される。
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