当初の研究計画の通り既存の自分の研究成果と文献調査、そして関連データを用いて、日韓の産業構造とその発展パターンにおける特徴、そして両国間の貿易構造や国際分業の状況について分析を進めてきた。また、部品・素材産業の特性とそれが産業構造の高度化パターンにどう影響を与えるのかについて研究を進めてきた。 まず、IMFやUNの統計資料を用いて日韓と中国も含めた3国における貿易特化指数、RCA指数、貿易結合度などの指標による貿易構造、国際競争力、国際分業について分析した。その成果の一部は2010年9月の韓国(慶煕大学国際地域研究院主催など)と日本の国際シンポジウムなどで発表した。 また、日本と韓国の代表産業でもある自動車産業を取り上げ、実態調査と文献調査を通じて両国の産業構造高度化パターンとその構造的特徴についての比較分析を行った。 次に、以上のような統計資料や文献調査による分析結果を補完するため、韓国と日本の関連企業や関連研究機関への実態調査を行った。実態調査では、今年度の場合、韓国の現代自動車と関連部品・素材メーカーを中心にインタービュー調査を行った。現代自動車の技術開発体制、関連部品・素材メーカーとの取引関係や技術支援などについてインタービュー調査を行い、現代自動車の成長過程とその特徴、そして現代自動車が2000年代に入ってから急成長した要因などについて分析した。 また、現代自動車と韓国自動車部品振興財団の協力を得て、部品・素材メーカーを対象に技術水準、日本との技術協力及び提携関係、研究開発体制、輸入品目及び輸入要因、納入先との取引状況などを中心にインタービュー調査を行った。
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