今年度は本課題の最終年度であり、2年にわたる調査研究成果に基づき最終報告書の作成に取り組むとともに、学会などでの発表、ジャーナルへの掲載など研究成果の普及にも努めた。 まず、3年にわたる調査研究の内容を最終報告書にまとめるために、必要な内容の確認及び補完作業を行った。とりわけ、今年度は韓国政府の部品・素材産業の支援政策の内容及び評価に焦点を当てて関連政府機関や関連企業への調査を行った。また、韓国の部品・素材産業の状況及び国際競争力について日本と中国との比較のため、中国に進出している韓国と日本の自動車メーカーと関連部品・素材メーカーに対するヒアリング調査などの実態調査も行った。そして、韓国政府の関連政策に対する企業側の反応や政府の対策などの確認のため、関連企業や政府部署などにもヒアリング調査を行った。以上の分析から韓国の産業構造高度化パターンと部品・素材産業の現状、国際競争力の向上における政府の役割や限界がある程度明らかになり、今後の部品・素材産業の育成政策と関連した政策的課題が明らかになったといえる。また、3年間、同研究を進めていく中で、日中間の関連研究機関や研究者たちとの協力ネットワークが強化されたのも大きな成果の一つといえる。 これらの研究成果の一部は、北東アジア学会、国際シンポジウム(於:台湾国立大学)、各種の研究会、関連業界の講演会などで発表された。また、主な内容は学会誌や大学の紀要、関連業界の雑誌にも掲載された。そして、全体の研究成果を内容をまとめた最終報告書を今年3月に発刊した。
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