2013年9月にラオス北部、ウドムサイ県ナーモー郡のナッサヴァン村、マイナータオ村、クオン村において、中国商人による契約栽培の進展、契約栽培と所得との関係、子どもの教育と健康に関するサーベイ調査をおこなった。タバコ、ゴム、ピーマン、果物などの商品作物の契約栽培はますます浸透し、村全体の所得上昇とともに量的な側面では学校が増えて、教育がますます充実してきている。契約栽培による所得増加は、村を離れて都市へ移動して高等教育を受ける機会を提供するようになっている。中国商人の持つ作物栽培に関する技術の高さは圧倒的なものがあり、それに依存せざるを得ない状況である。しかし、中国商人からの受動的な契約栽培だけでなく、資金を得たラオスの若い世代は車を買って商品作物を国内市場に販売するという商人の経済活動をするものが現れ、その活動を近隣の村でもまねをするといった影響を与えていた。ある種の起業家の出現と考えられる。契約栽培の契約を従来村レベルで行っていたが、村レベルでなくより上の組織であるディストリクト・レベルで行おうとすることになり、また農協のような組織を作って情報を集め、価格の安定を図るような行政側からの動きも出てきていることが分かった。 ラオスのリプロダクティブ健康サーベイを使用して、地域と都市・農村間の違いを比較しながら乳幼児死亡率の決定要因を計量経済学手法により調べた。その結果、母親の教育水準は非常に重要な要因であり、少なくとも初等教育を終了していることは乳幼児死亡率を減少させる大きな要因となっている。子どもを産む順番も重要で、4・5番目になると死亡率は有意に高まり、6番目以上になるとそれ以上に急速に死亡率は高まっていた。ディストリクトにおける医療関係勤務者の数は有意に死亡率を減少させていた。
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