研究課題/領域番号 |
22530273
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
佐藤 忍 香川大学, 経済学部, 教授 (30170749)
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キーワード | 縫製 / 外国人技能実習生 / 変種変量生産 / 一枚流し / セル生産 / 短納期 / クイックレスポンス |
研究概要 |
昨年度に実施した国内園芸に関する研究成果を学外のレフリー制を採用している学術雑誌に投稿した。2012年7月号(第645号)に掲載が決定した。 本年度の研究対象は、縫製業である。国内の縫製業者は、国内に立地する強みを活かした戦略を模索し展開している。アパレルメーカーや消費者のわがままな要望にどれだけ柔軟に対応できるかが肝心である。ロット変更、納期変更、デザイン変更など、めまぐるしい変化に対して即座に対応することが大事である。短納期とクイックで本領を発揮するのが国内に立地する縫製工場の使命である。そうした変種変量生産を実現する経営形態は、零細性である。零細性は、誤解されやすいが、たんなる衰退ではなく、柔軟性とクイックを追求する先進性め表現でもあると考えるべきである。 訪問調査をつうじて外国人技能実習生の基幹労働力としての活用実態を明らかにした。ボリュームゾーン、ベターゾーン、トップゾーンの製品にかかわるそれぞれタイプの異なる縫製工場を対象とした。どこでも縫製に従事する現場労働者の主力は、外国人技能実習生である。ボリュームゾーンにある少品種の製品を大量に効率よく生産する工場では、9人の技能実習生を一枚流しの生産方式のなかで活用している。ベターゾーンやトップゾーンにあって多様な種類の製品を様々な数量で、臨機応変に生産する工場では、少ない受注量のときにも対応しうるようにするために、3人体制が組織されている。3人一班で製品を作り上げる体制にしておけば、小ロットの受注にも対応できる。受注量が大きくなれば、5人編成に変更したりすればよい。いずれにしても変動の激しい市場に即応しうるためには生産体制を小さく柔軟にしておかなければならない。したがって基本は3人一班で製品を作りあげるセル生産方式である。いずれの場合でも労働者はいくつもの工程をこなす多能工である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
訪問調査では、訪問し準企業だけのヒアリングにとどまらず、同じ監理団体に加盟している受け入れ企業及び技能実習生に対するアンケートの実施にたいしても全面的な協力をいただくことができた。おかげで研究はおおむね順調に進展していると評価してよい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本年度の研究成果を論文として発表するとともに、新たに、外国人介護士の労働力としての活用についていくつかの介護施設を訪問調査する。これまで過去2年間の研究をつうじて明らかになった技能実習生活用の経験とEPA方式に基づく経験との比較をしながら、共通点と相違点を踏まえ、外国人労働力の短期雇用プログラムの日本的スタイルともいうべきものの今日的姿を把握したいと考えている。
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