研究課題/領域番号 |
22530273
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
佐藤 忍 香川大学, 経済学部, 教授 (30170749)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 外国人技能実習生 / 外国人労働者 / 縫製業 / 変種変量生産 / セル生産 / 一枚流し |
研究概要 |
昨年度に実施した国内縫製業に関する研究成果を学外のレフリー制を採用している学術雑誌に投稿し、受理され、年度中の2013年2月号(第652号)に掲載され、発表することができた。 日本の縫製業はグローバル化の中で零細性を武器にして変種変量生産を展開している。外国人技能実習制度はその構造において不可欠の構成要素となっている。技能実習生の受け入れ事業所は、3年という所与の時間のなかで、できるだけ早く基幹労働者に成長してくれるような潜在能力のある人材を現地で選考し、国内工場で養成している。労働者の成長が企業の成長でもある。それゆえ縫製業では技能実習はたんなる建前ではない。彼らの能力開発なしには短納期・クイックといった柔軟性の実現は不可能である。能力開発の鍵は、チームワークである。能力水準の異なる技能実習生を組み合わせ、いかに効率よく協力関係を創出し、技術の伝達を実現するかである。一枚流し、セル生産といった生産方式は能力開発の仕掛けでもある。日本語能力の習得は能力開発の成否を左右する。事業主にも技能実習生にもその重要性は認識されているが、効果的な方法が見つけられないままに試行錯誤が続けられている。 たいていの技能実習生は、アンケート調査から判断するかぎり、縫製技術の向上、家族生活の改善、日本語能力の上達を実感しつつ、最終的には技能実習生としての選択と今の状況に納得しているようにみえる。後悔や不満を明示的に表明する実習生もごく一部だが確認できる。 縫製業の技能実習制度は、さまざまな問題を内包しつつも、外国人労働者を短期雇用するためのプログラムとして機能しているといってよい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
農業、縫製業について研究成果をそれぞれ学術論文としてレフリー制を採用している学外の学術雑誌に発表できたことは達成すべき実績として十分であると満足している。介護施設における実態把握の成果を論文として纏め、それに基づいて研究全体を総括することを次年度に残された課題として展望している。
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今後の研究の推進方策 |
介護施設における実態把握を進め、研究成果を学術論文として発表するとともに、農業、縫製業の研究成果も踏まえたうえで、外国人労働者雇用の日本的なスタイルを展望する。
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