本年度は、ベトナムの裾野産業ネットワークの形成についての研究の目的で、理論的な研究と近況ベトナムの産業競争力についての調査を平行して行った。理論的な研究としては、裾野産業ネットワークの形成についての理論的な考察を中心に文献サーベイを行い、製品の製造技術を参考に「裾野産業」の概念を明白に定義した上、研究の全体の分析枠組みを構築した。現段階は、理論的に政府主導型と市場主導型ネットワークを分類して、それぞれのパターンの形成メカニズムと関連条件に関わる仮説を立てた。この原稿の一部は研究ノートとして「ベトナムの裾野産業の発展と企業間ネットワークの役割」のタイトルでThe Saigon Economic Timesの雑誌(第48号2010年)に掲載された。 一方、ベトナムの産業競争力についての調査では、現状ベトナムの企業団体と中小企業を中心とする民間製造企業の実態に関する情報を集めた。一部の情報を生かして、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の「ベトナムの産業競争力強化の政策提言」というプロジェクトに参加し、自動車部品産業を中心に、ベトナムの産業競争力を分析し、緊急に取り組む政策課題を提示した。 また、もう一部の情報は、以前個人の研究により中国の裾野産業に関わる情報・データと合わせて中国とベトナム間の産業競争力の差異と関連条件を分析し、「最新中・越の貿易関係と産業競争力の強化」というタイトルで論文にまとめた。当該論文は、2011年3月に発行された桜美林エコノミックス第2号に掲載された。
|