経済政策・雇用政策に関するデンマーク語文献資料の収集を行うとともに、EU雇用政策、日本の雇用政策の文献資料を収集した。また、2010年8月にデンマーク、ベルギー、オランダを訪問した。デンマークではロスキレ大学ベント・グリーヴ教授、コペンハーゲン大学労働問題研究所セーレン・アナセン教授、デンマーク労働運動史研究協会SFAH、王立図書館を訪問し、研究動向を把握するとともに文献資料を収集した。また、SFAH主催の「女性労働運動100年記念国際シンポジウム」に参加し、女性労働の視点からデンマーク労働問題に触れる機会を持った。ベルギーでは、EU経済社会委員会雇用社会問題市民権課のバック・ニールセン氏、ルーヴァン大学(サン・ルイ大学)社会政治研究所長のヤニック・ヴァンダーボート教授を訪問し、EU、デンマーク、ベルギーの雇用政策について聞き取り調査を行った。オランダではアムステルダム大学労働問題研究所のフランク・トロス教授を訪問し、オランダとデンマークの雇用政策の比較研究について聞き取りを行った。 1990年代前半の労働市場改革については、社会民主党および労働組合全国連合LOのツァイテン委員会に関わる内部文書をはじめ一次資料を収集することができた。また、1899年の「9月合意」に関する研究資料を入手することができた。経済政策の主体をなす経済諮問委員会の当該期の経済報告書も入手することができた。 デンマークベルギー、EU、オランダの雇用政策研究の第一人者から研究動向と見解を聞くことができた。フレクシキュリティに関してはデンマークが2001年以降変質を始めている点、だが、ベルギー、オランダと比較すると様々な雇用指標においてデンマークのパフォーマンスがよく、相対的にデンマークモデルが生きていることが確認された。
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