研究目的は、金融のシステミックな脆弱性に関する政策的含意を得るため、ミクロレベルの行動ルールをもつ異質な複数の経済主体を対象とした金融部門を統合化したマクロ経済の基礎モデルを構築することであった。平成24年度は、情報収集、研究分担者との情報交換を継続しつつ、基礎モデルの政策シミュレーションを試みる計画を立てていた。 実績としては、前年度までの分析に基づき、自己生成的な不安定化要因の解明をすることが重要であるとの認識に基づき、それを可能とするマクロモデルの構築に注力した。その結果、技術的生産サイドと有効需要サイドの両面を統合し、完全に閉じた景気循環を再現するマクロ経済モデルの構築に成功し、基礎的なシミュレーションを行った。これらは、デフレーションがハイパーインフレーションに転化するシナリオや企業や銀行のバランスシートの損傷に対して有効な政策をシミュレーションすることが可能なプラットフォームになっていると考えている。 当該年度は事業の最終年度に当たるため、年度末において、これらの成果を論文としてまとめ、投稿した。
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