研究課題
本課題研究については、これまで公立病院の実態調査及び公営企業統計年鑑のデータ整理を行ってきた。今年度は、これまで得られたデータをもとに、統計的な分析を試みた。具体的には、因子分析及び多変量解析によって公的病院の財務分析を行い、経営が悪化する要因を検証した。これらの結果を総合すると、まず医療施設が充実している病院は財務状況が悪い傾向にあることを明らかにしている。これは、病院の増改築や高額医療機器の導入は借入金によって行われるが、その金利負担や減価償却費が財務を急激に悪化させることを示唆している。さらに医療スタッフが不足している病院は財務状況も不健全である傾向が見られた。一般的には、人員を削減することで財務状況が改善すると考えられがちであるが、公的病院は医師不足に悩まされており、そのため施設を稼働させることができず、収益機会を失っている姿が示唆されている。これらの結果は、因子分析によるアプローチ及び多変量解析によるアプローチどちらからも同様の結論が得られており、結果の頑健性が認められる。また、包絡線分析によるアプローチとの結果の比較を行ったが、包絡線分析ではコスト構造を正確にとらえきれていないことが示唆され、本研究で試みたアプローチの有用性が明らかになった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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大阪大学大学院国際公共政策研究科OSIPP Discussion Paper
巻: DP-2012-J-009 ページ: 1-20
嘉悦大学ビジネス創造学部ディスカッションペーパー
巻: DP-2012-J-001 ページ: 1-20