本研究は中国におけるコンテンツ産業振興政策、とりわけ産業集積などを進めている地域のフィールドワークを中心として研究した。繰り越された予算は、中国内陸部におけるコンテンツ産業の動向を探るという目的で活用した。具体的には吉林省における吉林動漫集団に所属する漫画雑誌編集企業、CGスタジオ並びにゲーム開発スタジオへの視察ならびに担当者に対する半構造化面接の実施である。吉林省という中国内陸地でありながら、吉美動画は小学館から正規ライセンスを得て同社のコミック雑誌を中国全土で販売、CGスタジオである、紫晶動漫は、CM用VFXの制作からフルCGアニメまで幅広いCG作品を制作、遊戯遊芸は、上海でゲーム開発に携わってきた吉林省出身のベテランゲーム開発者を社長に据え、様々な大手企業のゲーム関連コンテンツに関わっている。これら合わせて17社がグループ企業として位置づけられているのだ。それぞれが結束を固めていく予定であることから、今後中国においても数少ない産業クラスター化が期待されている。従来は集積はしてはいるものの、シナジー効果を発揮する事が極めて少ないごとから、より長期的な視野で調査を継続することの重要性が確認出来た。更に特定の地域に集積されている企業間連携によるマルチコンテンツ展開の可能性について更に吟味してく必要があるという結論に至った。この点については何らかの形で更なる研究を進めていきたい。23年度及び24年度についてはその点も半構造化面接を実施していくうえでの課題となるだろう。
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