最終年度である今年は、中国コンテンツ産業クラスターにおいて、いまだ調査を進めてこなった生産性の低い、中国コンテンツ企業と国際分業を進めている拠点における企業の状況やコンテンツ産業振興政策について調査を実施した。具体的には南京、シンガポールや、韓国である。このような中で、コンテンツ産業クラスターを形成しながら、生産性がいまだ上がっていなかった南京で調査したアニメスタジオの状況を確認する限り、事業の中心が、市場中心というよりは、行政中心となっており且つ行政側の支援も中々届いていないという事実を確認出来た。これは、同じコンテンツ産業クラスターに属するとはいっても、オンラインを中心とした、ゲーム産業など、市場を中心として事業戦略を練っていく組織とは明らかな違いがある。 一方、中国行政の方針によりおこなわれたコンテンツ産業関連を意識した人材育成は周辺諸国との連携、つまり中国をアウトソーシング拠点として成長させるうえで一定の役割を果たしてきている。シンガポールにおいては、メディア開発局が中心となりコンテンツ産業の振興をおこなっているが、これら支援をうけるシンガポールベンチャーのアニメーションスタジオも主要な開発は、蘇州のアニメーションスタジオとの連携で実施している。これらの拠点もシンガポールや中国で実施される国際展示会でマッチングした結果であるとのことだ。 一方、韓国最大手の企業は上海へコンテンツを展開時から、中国オンラインゲームパブリッシャーの展開力に頼ってきた。以上のことから、同じコンテンツ産業の集積地域においてもコンテンツ展開を進める分野に応じ行政主体となるのか、市場主体となるのかといった点において発展のプロセスに大きな違いが生まれるというのが明らかとなった。
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