研究課題/領域番号 |
22530290
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
橋本 圭司 追手門学院大学, 経済学部, 教授 (60208444)
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キーワード | 公教育費 / 地方教育費 / 少子・高齢化 / パネルデータ / グランジャー因果性 / 世代間の闘争 |
研究概要 |
多くの先進諸国において顕在化している少子・高齢化の進行によって、年金、医療、介護といった高齢者向けの公共サービス増加への政治的圧力が強まり、教育への公的支出が相対的に低下するという経路が考えられる。同時に、グローバル化や技術革新によって、より高度な教育の必要が高まるという経路があり、学齢期の子供を持つ世帯は、高所得層であれば私的な教育費負担で対応するであろうが、低所得層は公的教育への支出低下による教育の質の低下に甘んじなければならない。この問題は世代間の闘争Intergenerational Conflictとも称されているが、本研究では、人口構造の変化と公教育費との関連を分析することによって、マクロ経済的視点からそのような関連経路を明らかにすることを目的としている。 平成23年度においては、公表された日本のデータを用いて公教育費と人口構造の関係について、計量経済学的分析を試みた。すなわち、『地方教育費調査』その他の資料から、1994-2009年にかけての都道府県パネルデータを作成し、高齢化率と学校教育費との関係について、とくに動学的パネルデータ分析の手法によって推定作業を行い、推定結果の吟味と解釈について検討を重ねた。具体的には、先行研究が義務教育費に注目しているのに対し、本研究では、高校(公立)を含めた生徒一人あたり学校教育費を被説明変数として、高齢化率、老人福祉費等を説明変数とするモデルを推定した。現在のところ、高齢化は一人あたり学校教育費に対して負の影響をもたらしているとの推定結果を得ている。 なお、パネルデータ分析手法の応用として、日本の場合の女子有業率と出生率との関係、中国における教育水準とジニ係数で計測された教育不平等との関係についての分析結果を、それぞれ二つの国際学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、市町村データを用いた分析については、現在のところ取りかかれていないが、都道府県データにより高齢化が公教育費を圧迫しているとの仮説の検証に関して、各種ソフトウェアの利用も含めて、パネルデータを用いた分析手法を適用し、先行研究の分析結果を進展させた結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
データの収集、分析手法の習得に関して、ほぼ研究計画のとおり、1994-2009年の都道府県別に高齢化率、地方教育費の学校教育費、公立校在学者数、県民所得等についてパネルデータを作成し、種々の推定モデルの推定および推定結果への各検定方法の適用を試みている。現在のところ、高齢化は一人あたり学校教育費に対して負の影響をもたらしているとの推定結果が得られているが、それに関する頑健性を吟味するとともに、推定モデルの結果とグランジャー因果性テストの結果との関係について、さらなる検討を加えたい。また、市町村データを用いた分析を行うことも視野に入れていたが、現在のところそのデータ収集に困難をきたしており、方策を考えることとしたい。
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