本研究は、NPOを含めた第三セクターに着目して、公共サービスの提供を中心としたその活動の理論的分析、制度的位置づけ、そして組織の展開過程に関する日本と欧米諸国との比較を行った。その結果、第三セクターの行動は利他的原理として特徴づけられ、現実の経済においては保険組織として現れることが示された。そして、年金や福祉といった社会保障においても、欧米ではかかる組織が自発的に行ってきたサービスを国家が追認する形で制度が形成されてきたのに対し、日本では政府の上からの政策によって制度が作られ、負担の面で企業がそれに抵抗してきたという違いが明らかとなった。
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