研究課題/領域番号 |
22530305
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆康 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60361888)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 金融論 / 中央銀行 / 市場との対話 / 金融政策 / 金融市場 |
研究概要 |
今年度の目的は、日銀が2013年4月4日に導入を決定した量的・質的緩和が、金融市場に与えた短期的な効果を検証することであった。3カ月後、6カ月後において緩和効果が認められたのが、短期金利(TIBOR3カ月物、12カ月物)と株価(TOPIX)、ドル円為替レートであった。一方、東証REIT指数に対する効果はなかった。また、中長期ゾーンのイールドカーブ低下効果も認められず、中長期金利は上昇した。日銀は質的・量的緩和の導入に伴って、新発国債発行額の約7割に相当する国債の購入を決め、黒田総裁は4月4日の記者会見で「イールカーブ全体の低下を目指す」と宣言した。しかし、国債市場の需給が引き締まることで、国債の価格は上昇(利回りは低下)するとの見通しは、外れたことになる。日銀の市場との対話は、円安及び株高効果においては成功したが、REIT価格の上昇とイールドカーブ全体のフラット化においては失敗したといえる。 この原因については、(1)国債市場の流動性が薄くなったため市場のボラティリティーが増した 、(2)日銀が2年で消費者物価指数の前年同月比を2%上昇させるという時間軸を設定した。特に期限を2年と限定したことが国債利回りの低下を阻んだ、(3)2%の物価上昇が達成されるのであれば、フィッシャー仮説に従い、期待インフレ率の上昇は名目金利(国債利回り)の上昇につながる、といった点が考えられる 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通り、2013年に日銀が導入した量的・質的緩和政策に関する分析が予定通り進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年にあたる26年は、4年館の研究内容の総括とまとめを中心に進める予定である。
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