本研究の目的は,地方自治体の行財政運営の効率性に関する現状分析を踏まえ,将来の地方自治体間の行財政格差および地方自治体の財政破綻ついて理論・数量的に分析を行うことであった。そのために,23年度は市町村合併が市町村の行財政運営上においていかなる影響,問題をもたらしてきたかについて,日本全国の市町村にアンケート調査を行った。全国1700余りの市町村の中で,東日本大震災の影響がある市町村を除いた約1600の市町村のうち,約800の市町村から回答が得られ,その回収率はおおよそ50%に達した。したがって,この回答から得られる情報は,おおよそ日本の市町村の全体的な傾向をとらえているものと判断できる。アンケートでは、市町村合併のメリット・デメリット、行財政の効率化の方策、施策の効果、税源移譲の十分性などについて尋ねた。24年度はこのアンケートデータに基づいて分析を行った。そこから市町村職員の目から見た行財政改革の有効性あるいは限界を読み取ることができた。 また東日本大震災を受けた山形、宮城、福島の市町村については震災に関するアンケートを23年度末に別途行った。上記の市町村行財政改革についてのアンケートも同封した。約100の市町村の内約30程度の市町村から回答が得られた。そこでは震災時における情報の問題、危機対応の問題等を市町村の目から見てどうだったかを尋ねた。 いずれのアンケートからも多くの知見が得られた。
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