研究成果の具体的内容は、概ね研究実施計画に沿ったものである。まず、高頻度為替データを購入し、分析に使えるよう加工した。経済指標発表ニュースなどの日次情報は高頻度データ化した。高頻度データの加工についても、日次データの高頻度化についても、プログラミング言語で統一的に処理した。この過程は予想以上に時間がかかり、幾度も困難に直面することとなった。 関連する先行研究として、為替介入に関する研究、高頻度データと実現ボラティリティに関する研究などについて調べ、サーベイをおこない論文にまとめた。サーベイの趣旨は、高頻度データを用いて分析を行う際の手法について、データ加工の方法について考察するためでもある。 為替変動は企業業績や日本経済に大きな影響を及ぼすことから、高頻度データを利用して為替変動の要因を明らかにする意義は大きく、為替変動に関する分析が本研究の目的である。内外の経済指標発表ニュースの為替相場への影響、為替介入効果の検証、政策が与える影響について考察することを実施計画にかかげている。 高頻度データを用いた為替市場の実証分析では、実務でも利用されている信頼性の高いデータを利用する必要があり、また、新しい統計技法に頼るだけでなく国際金融の理論も必要であり、バランスのとれた分析を行うことを重視している。この意味でも先行研究のサーベイは不可欠である。 今年度は、データ加工、先行研究のサーベイ、今後行う実証分析の準備まで研究計画を進めることができた。
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