本研究では、バーゼル規制下における日本銀行の貸出行動を分析している。特に、銀行が規制をクリアするのに必要な自己資本比率を達成できるように、日本の金融当局がとった裁量的な政策の効果に焦点をあてている。同時方程式を用いて、自己資本比率そのものではなく、自己資本比率を構成する要素がそれぞれ貸出にいかなる影響を与えていたかを分析する。自己資本比率を構成する要素は、例えば公的資金はいつかは返済しなければならないし、含み益は株価の変動に左右されるなど、それぞれ異なる性格をもつお金であり、これらの要素はそれぞれ別に扱う必要がある。全体として、金融当局が採用した政策は貸出に影響を与えていたといえる。
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