当年度は、二度の学会報告を行っている。いずれも標題は"The Structure of Bankingin Regional Market : Evidence from Micro Data of Kyoto City"であり、京都市における中小企業のマイクロ・データを用いて、地元の中小企業金融の市場動向を分析したものである。マイクロ・データは入手が困難であり、データの利用においては、さまざまな工夫が必要である。当研究のデータ収集作業では、図書館で閲覧できるCD-ROMに収録データの手入力という、非常に労力と時間のかかる作業を必要とした。全国規模の研究ではないものの、京都市という特色の強い地域経済における、中小企業金融の市場の特色を分析した有意義な研究であるとの評価を学会報告の場で得られた。現在はその内容を論文化するために、修正や推敲を重ねている。また、当年度の後期以降は、現在単独で執筆中の論文"Loan Portofolio adjustments of Regional Financial Institutions to Regional Economic condition in Japanese Post-bubble periods : A Panel Cointegration Analysis"(仮題)のデータ入力、推計作業、論文化の準備を行っている。当論文はバブル崩壊後から現在までの全国の地域金融機関の貸出金利と地域の経済要因との連動性を、パネル共和分検定を用いることによって分析し、モデル化によって、どのような要因が影響を及ぼしているかを分析するものである。
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