研究課題/領域番号 |
22530333
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平沢 照雄 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70218775)
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キーワード | 大恐慌 / 経済統制 / 労働条件 / 産業協力 / 工業組合 / 輸出電球工業 / 労働組合 |
研究概要 |
本研究は、1930年代前半期日本において展開された2つの取り組みに関する実証分析の進展を意図したものである。すなわち、(1)政府および中小工業組合による労働条件規制の展開と、(2)労使双方が委員会を設置し協調して労働条件の維持・改善に取り組な産業協力活動に焦点を当て、その特徴および限界について明らかにすることを目的とする。この目的にそって本年度は、第1に静岡、埼玉における繊維工業(整理、剪毛を含む)を主な対象として、30年代における労働条件適正化への取り組みに関する資料調査を行った。このうち前者に関してはそうした取り組みの前提となる労働実態等を把握するうえで重要となる各工場レベルでの未公刊の調査データなどを収集することができた。また後者に関しては本年度新たに実施した調査であったが、静岡と同じ時期に同様の取り組みが実施された事実の一端を明らかにできた。第2として、川口において総同盟系の労働組合の資料調査を実施し、産業協力活動に関する鋳物工業と電球・電球硝子工業の比較を行ううえで重要となる資料を収集することができた。さらに電球・電球硝子工業に関しては関西の産業協力活動の資料調査を実施し、その活動実態について新たな知見を得ることができた。第3として、本研究を通じて30年代の電球・電球硝子工業に関する実態の解明をさらに進めることができたが、そこで得た知見のうち特に輸出電球工業に関するものについては、戦後における展開との比較分析が可能となりつつある。そこで本年度はそうした研究のとりかかりとして、戦前と比較しつつ同産業の戦後展開について学会報告を行うことができた。以上が本年度の主な研究成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
労働条件規制の研究に関しては資料調査の面で本年度に予定していたものを完了できなかった部分があり若干遅れている。これに対して産業協力活動の研究に関してはおおむね順調に進んでおり次年度にはその一部を論文にまとめるところまで来ており、全体として(2)の状況にあると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
上記2つの研究課題のうち労働条件規制の研究に関しては、本年度に行った埼玉地域の資料調査がまだ途上であるので次年度はさらにそれを重点的に進める予定である。またもう1つの産業協力活動の研究に関しては、これまでの資料調査で得た史実を踏まえ来年度は論文作成に取り組みたい。その過程でさらに資料調査が必要となった場合には追加調査を実施して対応する予定である。
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