本研究は、日本の産業調整について経済史的視点から分析することを課題としている。対象とする時期は1970年代を中心とし、繊維産業のほか、それとの比較で石炭・造船・鉄鋼・化学などの諸産業もとりあげている。 政策面での分析からは、石炭・繊維は戦後の比較的早い時期から構造不況業種に転じた産業であり、手厚い政策的対応がはかられていたことが確認できた。企業・産業組織については、石炭・繊維を中心に倒産の時期・要因を個別企業ごとに分析すると同時に大量観察を行った。倒産は、一時期に集中することなく数十年かけて漸進的に進行していたことが確認できた。
|