本研究の目的は、第一次大戦終了直後で好況が続いていた1920年1月、その後の不況が始まっていた1922年12月、昭和恐慌期の1931年10月、戦時体制が近付いてきた1936年11月という、両大戦間期の4時点に関する日本の従業者規模別上位200企業のランキング表を完成し、それらに基づいて当時の日本大企業の展開の状況とその特徴を国際比較をも視野に入れて解明することである。いくつかのベンチマーク年を選んで大企業のランキング表を作成することは、A.チャンドラーをはじめとする外国の経営史家により、ある1国の主要産業の変遷を把握し、さらに国際比較を行う上ですでに確立した手法となっている。日本の戦前・戦後の大企業に関する総資産額あるいは利益金額順のランキング表もこれまでたびたび作られてきたが、申請者は従来完成されていない従業者数別のリストを1920年に関しては農商務省編『工場通覧』、その他の3年次については協調会編『全国工場鉱山名簿』から得られる企業名、事業所名、事業所所在府県名、業種、男女別従業者数等の情報を、全事業所に関してアルバイターに依頼して、パソコンにエクセル・データとして入力してきた。 この作業の大部分は昨年度までの2年間に終了していたが、最終年度にあたる本年度には、一部の入力漏れの補充、およびデータの点検をアルバイターに依存して終わらせ、予定通り、4時点に関するデータベースを完成した。さらに、上記の資料からは得られない国営・公営企業や、第3次産業関連の重要企業に関する資料の収集も主に学外の図書館への出張を通じて進めた。具体的には、本社(または本部)所在府県名、トップ経営者(原則として社長)とその特徴(創立者であるか、あるいは専門経営者であるか等)、設立年、存続年数、その他(財閥系企業・同族企業・個人企業のいずれであるか等)の情報である。
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