研究課題/領域番号 |
22530342
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
堀 一郎 愛知県立大学, 愛知県立大学外国語学部, 教授 (30113624)
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研究分担者 |
劉 志宏 静岡産業大学, 経営学部, 教授 (20308696)
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キーワード | アルセロール・ミッタル社 / グローバル戦略 / グローバル鉄鋼再編 / トランス・ナショナル企業 / ポスト・チャンドラー・モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、1990年以降顕著になっている世界鉄鋼企業のグローバル戦略分析とそのグローバル再編を、アルセロール・ミッタル(以下AM)社を基軸に動態的に分析することである。そのために、(1)AM社のグローバル戦略の定義づけ、(2)他のグローバル鉄鋼企業の類型分析、(3)AM社と他のグローバル鉄鋼企業間の対抗・協調関係による世界グローバル再編、(4)21世紀鉄鋼企業のポスト・チャンドラー・モデルの提示、を計画した。平成22年度は、まず6月にインターネット会議で以上の方法による分析を確認し、本年度研究計画を議論した。そして9月3-9日に堀、塩見、溝田が欧州のティッセン・クルップ(TK)社とAM社の工場視察とインタビューと行い、両社のグローバル戦略が対照的であることを明らかにした。TK社は自動車鋼板に集中しつつ、先進国を中心にグローバル戦略を追求している(グローバル選択・集中戦略)のに対し、AM社は製品および地理的にも多角化戦略(グローバル多角戦略)と原料資源確保の垂直的サプライチェーン戦略を採用していることが明らかになった。またAM社の本社機能が、金融的持株会社のようなルースな本社ではなく、情報を通じた本格的管理機能を果たしていることも明らかになった。そして、この調査をもとに、12月19日、本研究の連携および分坦研究者が集まり、研究会を開催し、堀が「AM社の戦略と組織」でAM社のグローバル戦略の展開とグローバル・ユニットの編成を報告した。そしてその研究会の中でAM社のグローバル多角化戦略のなかに、従来のグローバル戦略を超える、新たな先進国と新興国の二面戦略が認められることを確認しつつ、同社のグローバル戦略は「トランス・ナショナル」の定義、さらにAM社と他のグローバル企業のグローバル対抗・協調関係が従来の局面から新たな段階に入っているか、議論され、本研究計画の(2)、(3)、(4)を来年度の課題とした。
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