研究課題/領域番号 |
22530352
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
須藤 功 明治大学, 政治経済学部, 教授 (90179284)
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キーワード | 連邦準備銀行 / 金融政策 / ガバナンス / 大恐慌 / 取締役会 / 総裁 / 中央銀行 |
研究概要 |
本研究は、米国ブルッキングス研究所所蔵の連邦準備制度理事会および各連邦準備銀行の内部史料を内外でも初めて包括的に利用することで、連邦準備制度の管理運営組織と政策形成の特質を新たな視角から解明しようとするものである。 昨年度は、取締役(銀行家・農工商関係者・公益代表)および連銀総裁の個人経歴原票をデータベース化する作業を行い、その結果をラトガース大学のワークショップで発表した。本年度は、地区連銀の取締役や総裁の選出プロセスの変遷を詳細にたどるとともに、連邦準備制度のガバナンスにたいして彼らが果たした役割を分析した。従来、この問題については1935年銀行法による連邦準備制度理事会の権限強化で自明のことと見なしたため、大恐慌以降の時期については研究対象から看過されてきた。しかし、加盟銀行が地区連銀の設立・所有者である仕組みは何ら変更されずに続いており、そのため2010年トッド・フランク金融制度改革法では地区連銀総裁の選出方法を変更せざるを得なかった。この問題の重要性を改めて提起するため、大恐慌を挟んだ時期について、地区連銀のガバナンスとトップ経営者らの経歴データの分析結果とを、2011年5月開催の日本金融学会で発表した。その後、この報告原稿を英文の論文にするための作業を進め、8割程度まで完成した。今後は、本年度末にアメリカで収集した史料を分析して原稿に反映させる。そして出来上がった英文原稿について専門家による校閲作業を進め、学会誌等に投稿する予定である。さらに、取締役および連銀総裁の個人経歴原票をデータベース化する作業を完成させ、これらを大恐慌前後の金融制度改革から第二次世界大戦後にいたる連邦準備政策との関係から明確にし(この問題は、アメリカ経済史学会での発表で概括的に検討した)、論文として完成させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2011年3月に発生した大震災と原発事故による学内外の大混乱で、夏期休業中に予定していた海外出張による史料収集とその分析が遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
海外出張による史料収集とその分析が予定より遅れたが、これらの予定を春期に集中的に実施することで遅れをある程度回復することができた。今後、さらに遅れを取り戻すべく、夏期休業中に本研究を集中する予定である。
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