研究課題/領域番号 |
22530354
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
庄司 俊作 同志社大学, 人文科学研究所, 教授 (70130309)
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キーワード | ライフヒストリー / 高度経済成長 / 農家子弟 / 離就農 / 家とむら / 農業基本法 / 教育 / 集落移転 |
研究概要 |
(1)調査 2011年度実施した主要な調査は次の通りである。(1)京都府亀岡市馬路町の全農家について、アンケート調査を実施するとともに部分的に集計作業を行った。明治初期~昭和30年頃の変遷につなげる昨年実施した農家150年の再現調査の結果と突き合わせて検討中である。個別農家のライフ・ヒストリーの聞き取り調査を継続して実施した。(2)神戸市北区の「北神戸農村青年クラブ」・「北神戸農業経営者会議」関係農家の資料調査・聞き取り調査を継続して実施した。(3)岡山県山地農民(現新見市)の日記・金銭出入帳等を「昭和の家」の視点から分析するとともに、関係者から聞き取り調査を実施した。(4)1960年代農家後継者仲間であった7人の農民から、就・離農を中心としてライフ・ヒストリーの資料調査・聞き取り調査を実施した。(5)東日本大震災の復旧・復興に関して、岩手・宮城両県における被災農家の集落移転・離就農の調査を開始した。 (2)刊行物および資料の収集と整理 (1)これまでの村落研究をまとめ著作を出版した。これは本研究の一環であるとともに本研究の基礎になるものである。(2)(1)の(3)については、刊行なった日記の推薦文の小文をまとめた。また同日記等の分析結果がほぼまとまったので論文として発表する。(3)前年度に引き続き、関係資料・文献を系統的に収集した。(4)聞き取り調査については、テープ起こしをするとともに適宜文章化しているが、今後逐次発表していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年度は、これまでの村落研究を『日本の村落と主体形成』(日本経済評論社、2012年、全534頁)をまとめなければならなくなった。また、公務の都合で『大学の協同を紡ぐ』(日本生活協同組合連合会出版部、全476頁)を編集しなければならなくなった。さらに、ソウル大学の招待で日本の農地改革についてシンポジウム報告をしなければならなくなった。本研究と重なるものもあるが、これらのため本研究に割く時間をとられたことは否めない。2012年度はまとめの年なので、今まで以上に本研究に集中して成果をあげていく。
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今後の研究の推進方策 |
調査や資料収集は予定通り順調に行うことができた。問題はそれを成果物として発表していくことである。2012年度以降はこの点にやや重点を置いて取り組む。 また、東日本大震災の農業復興は当初研究計画になかったものであるが、対象時期は異なるものの、本研究の離就農と家・むらの問題に密接に関わる。本研究の発展という意味でも、この研究課題は2012年度も出来るだけ深めていきたい。 農業高校卒業生の進路調査を試みたが、個人情報保護の壁に妨げられ、アンケート調査と同様、調査の困難さを実感した。この研究課題を深めることは困難であると見通される。
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