①高度成長期における山形県の農家後継ぎの就農に関する研究。その1つは、上山農業高校(上山明新高校)の生徒について、学校要覧や生徒の手記、聞き取りをもとに後継ぎをはじめ農家の子弟の進路の選択や就農状況、農業と家に対する意識とその歴史的変容を分析した。この研究はあと1,2回追加調査を行った後、論文にまとめる もう1つは、旧南舘村(現山形市)の農民の日記を発掘し、現在解読中である。高度成長期に就農した農民の意識と農業に対する姿勢、急激な開発と農民の対応などがよくわかる学術的意義の高い資料であり、今後日記の出版の検討とともに、主に日記を利用して高度成長期の農民の社会史をまとめる。 ②研究継続中の旧馬路村(現亀岡市)に関しては、離村者へのアンケートを実施するとともに、一部ヒアリングも行った。昨年までの研究と合わせ、2013年中に論文をまとめる。また、岡山県山村農民(現新見市)の日記を中心とした研究では、日記解読がほぼ終了したので、農家子弟の動向に焦点を当て論文をまとめる。 ③旧大宮町(現京丹後市)の村づくりの歴史の調査によって、高度成長期以降現在までの農家子弟の進路選択、Iターン、Uターンなど新規就農の時代的特徴を検証し、他出経験や現在のIターン者と村づくりの関係を明らかにした。 ④東日本大震災・福島第1原発事故の復旧・復興に関して、家・村と農民の関係のを明らかにするため、仙台平野沿岸部を調査対象として、被災農家の離就農と集落移転の調査を行った。また、読書ノート「菅野正寿・長谷川浩編著『放射能に克つ農の営み』をまとめ、農民の復興の試み、現場から積み上げた放射能測定運動に焦点を当て、これ以上ない理不尽な経験に遭遇しながらも、農業を守る新しい農村社会運動に立ち上がる農民に注目した。「私の研究紹介 村落の共同と自治の探求」はこれまでの研究の歩みを総括し、本研究の意義について再考したものである。
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