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2011 年度 実績報告書

独仏同族大企業の企業統治

研究課題

研究課題/領域番号 22530357
研究機関横浜国立大学

研究代表者

吉森 賢  横浜国立大学, 経営学部, 名誉教授 (20182834)

キーワードドイツ:フランス / 同族企業 / 企業統治 / 公益財団 / 従業員福祉 / 所有構造 / 法的形態
研究概要

研究対象としてのドイツの大同族企業クルップ、ボッシュ、ツァイス、ベルテルスマン、フレゼニウス、メルクに関しての企業統治の一側面としての公益財団創設の目的、概要の調査はほとんど終了した。以下の公表論文に示すように上記6社の内4社については成果を発表した。
これらはドイツ同族企業は上場、非上場を問わず世界的評価を得ている企業であり、これまでの成果としてこれらの創業者から今日に至るまでの成功の軌跡を明確にした。すなわち共通の成功要因は従業員・公益重視の経営であり、これが公益財団設立に昇華している。また成功に至る戦略要因をも明らかにした。同族企業には後継者問題、相続税などの税務対策、上場・非上場の選択、非上場の場合の財務戦略、非同族の専門的経営者との権限・責任の明確化など非同族企業にはない問題が存在する。この点ではドイツも日本も変わるところはない。上記のドイツ大同族企業の実態は日本の同族企業にとっても有用な知見であることが証明されたと考える。
同族企業を同族が支配的株主であり、取締役会役員を実質的に選任できる企業と定義すれば日本においてもその数はトヨタを含め決して無視できない。しかしながら大小を問わずこの種の企業の統治制度に関してはほとんど注意が注がれなかった。上記の知見はその意味で日本の同族企業はもちろん、ベンチャー企業などの将来計画についても有用と考えられる。
研究対象の他の一つの国はフランスであるが、これまでの調査によりドイツとはかなり異なり公益財団を設立する同族大企業はドイツの5分の1程度に過ぎない。なぜこのような違いが存在するのか、フランスの同族大企業はいかなる方法で同族問題を解決しようとしてきたのか、が本年度の調査の焦点となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通りドイツに関しては報告書作成原稿の完成度は90%であり、目下出版社を探している段階である。
本年度はフランスに焦点を当てる。

今後の研究の推進方策

ドイツに関してはほとんどの作業は終了し、報告書を完成させる。今年度はフランスに集中した調査および報告書作成を行う。これまでのフランスにおける調査により、公益財団による大同族企業による企業統治はドイツに比較してかなり低調である。調査の方向としてはその理由を明らかにし、公益財団以外の方法による企業統治の実態に焦点をあてる。ドイツにおいては若干の疑問点の解明、フランスにおいては同族大企業の企業統治の実態を、それぞれ現地の企業、研究者との聞き取り調査を実施する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ドイツ同族大企業の公益財団と統治機構-ボッシュ公益財団とクルップ公益財団2011

    • 著者名/発表者名
      吉森賢
    • 雑誌名

      日本大学政経研究

      巻: 第48巻 ページ: 85-123

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ドイツ医療関連同族大企業の企業統治-メルク株式合資会社とフレゼニウスSE社2011

    • 著者名/発表者名
      吉森賢
    • 雑誌名

      医療と社会

      巻: 第21巻 ページ: 121-135

  • [学会発表] リーマンショック後のドイツのコーポレート・ガバナンス2011

    • 著者名/発表者名
      吉森賢
    • 学会等名
      日本財務管理学会
    • 発表場所
      創価大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-06-11
  • [学会発表] Governance of Family-Funded Charitable Foundations in Germany2011

    • 著者名/発表者名
      吉森賢
    • 学会等名
      7^<TH> Workshop on Family Firms Management Research
    • 発表場所
      ドイツWitten-Herdecke Universitat
    • 年月日
      2011-05-28

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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