本年度は、富山県を中心とする中小企業向けのアンケート調査・分析を行うため、その準備と個別調査を中心におこなった。 企業のBCP策定状況は規模の大きさに相関がみられ、地域の防災意識とも関係があることがわかっている。また、BCPの内容として有効な手段の1つであるテレワークについて、多くのテレワーク導入企業ではBCPの側面までは考慮していないことも、自他のヒアリング調査で明らかになっている。また、特殊な業務の個人事業主が事業の拡大と顧客の維持の観点でテレワークを活用したサービスを行っている事例もあることがわかった。 特に中小企業に視点をおくと、BCPそのものを知らないことが多く、教育不足・周知不足を指摘することが出来る。また、防災意識と事業継続の意識も高くなく、特に小規模企業では対策は不要という意見も多い。本研究では、人数が少なく、1人が様々な業務に対して広く深く関わっていて、ノウハウを共有しにくい中小企業こそ、非常時に出来るだけ欠けることなく業務に携わる必要があることを指摘した。21年度の新型インフルエンザのパンデミック時に家族の対応で多くの社員が長期に欠けた企業があることも踏まえ、普段からテレワークの体制を作っておくことで欠ける人数を最小限におさえることが出来ることも指摘した。 これを踏まえて、富山県を中心とする中小企業に向けて、BCPとテレワークに関するアンケート調査を2月に行った。分析結果は次年度に行う予定である。また、3月の東日本大震災を受けて、大きく意識が変わっている可能性が高いため、この点についても次年度で考慮する。
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