研究課題/領域番号 |
22530358
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
柳原 佐智子 富山大学, 経済学部, 准教授 (40262505)
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キーワード | テレワーク / 在宅勤務 / 事業継続計画 / BCP / 中小企業 / CRM / つながり感 / e-Learning |
研究概要 |
本年度は、以下の3点を中心に行った。 1.富山県を中心とする中小企業向けのアンケート調査・分析を行い、BCPの策定状況とテレワークに関する意識を探った。その結果、富山県に関しては震災によってBCPやテレワークの知名度は若干上がっているが、中小企業、特に零細企業ではBCPの必要性に懐疑的・否定的である。また、BCMに必須となる情報システム環境の構築が不十分であり、「BCPは大手のもので、中小企業には不要」という考えも多いことを明らかにした。BCM・BCP,テレワークのいずれにおいても経営者の意識が大きく反映されている可能性があると考え、各企業の経営者に関する追加調査を行っている。 2.零細企業や自営では、1人の社員の非常事態が業務継続に大きな影響を与えることから、このような企業に対してインタビュー調査を行い、特殊な試みを行っている自営業者について事例研究を行った。その結果、CRM(顧客関係管理)の一環としてはじめたテレワーク環境(e-Learningシステム環境)がBCにも役立つ可能性を指摘し、自営業者でのBCP策定に至る前のICTのBCM利用について新たな方向性を明確にした。 3.東日本大震災で問題となった学校教育の継続性の視点から、教育業務の継続を行うためにテレワーク環境やe-Learningシステム環境が、少人数教育では主に「つながり感」によって学習意欲の継続に役立つことを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
震災の影響が思わぬところに出て、当初計画のアンケート調査の分析は少し遅れているが、新たに個人事業主のBCP、BCMに関わる方策の事例を見つけることが出来、新たな知見につながり、またそれが当初アンケートの分析にも生かされているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究で予定している中小企業向けの全社的BCP策定モデルの作成実験については、協力企業がなかなか見つからないが、BCP対策としてのテレワークの環境整備という観点では協力企業が見つかっている。中小企業ではまだ環塊整備が十分ではないことに鑑みて、具体的な環境整備をモデル化することに的を絞る予定である。 大学業務と自営業については実験環境や協力者が見つかっているため、教育モデルや自営業モデルの作成を行う予定である。
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