研究概要 |
本年度は,中小企業における価値向上について,主として市場という角度から研究を遂行した。 企業が自らの持つ技術の価値を最大化させようとするならば,どのような市場を選択し,そこでどのようにシェアを高めていくかが,きわめて重要な課題となる。特に中小企業の場合には,経営資源が稀少であるため,それを効率よく活用してかなければならないのである。そこで,限定されたすき間市場にて高いシェアを実現している中小企業を対象に,その企業行動を分析した。 まず国内外における既存の関連研究を収集し,それらのレビューを行った。その上で,これまでの研究で必ずしも明らかにされなかった点,触れられなかった点に焦点をあてて検討を進めた。具体的には,市場参入にはどのようなタイプがあるのか,選択した市場でシェアを向上していく上ではどのような要因が重要な役割を果たしているのか,高シェアを獲得した後にはどのような課題に直面しているのか,それにどのように対応していけばよいのかなどを考察した。このようなすき間市場で活躍する中小企業の行動を分析することは,下請タイプの中小企業が戦略を構築する上でも参考になると思われる。既存事業の成熟化を打開したり,新たに新事業を開拓したりする場合に,貴重な示唆を得られるからである。 研究を進めるプロセスにおいては,データを使用した統計的分析作業や視察調査を行うなど,実証面からのアプローチもとりいれるようにつとめた。 これらの研究については積極的に学会で報告を行ったり,論文の執筆・投稿をすすめたりするなど,研究成果の発表にも注力した。
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