研究概要 |
本研究では,日本の中小企業が新たな価値を発見して存続・成長していくための方策について,多様な側面から探っている。 昨年度は,主として市場という角度から,中小企業における価値向上について研究した。 本年度はこの市場という角度に加え,さらに人材マネジメントについて着目した。特にミドルマネジメント層を対象にして,彼・彼女たちが将来的に経営を支えられるような幹部になるために,何をなすべきかについて検討を行った。 経営者の育成や,起業家精神の促進に関しては,内外の既存研究でも扱われてきた。しかしながら中小企業が社内で幹部候補社員を育成する方策については,これまであまり触れられることはなかった。そこで,社内で育成することの意義や,複数の幹部候補を育成する重要性を明らかにした。そして知識のインプットから体験としてのアウトプットへの転換とそのスパイラル,現状把握と将来構想といった時間軸を用いながら,通常の業務を遂行しながら育成が遂行できるような手法を検討した。中小企業では育成に割くことができる経営資源にも限りがあるためである。またミドルマネジメントを育成することが,同時に社内のボトム層にもポジティブな影響を与えうるような仕組みづくりについても提案した。 以上のほかにも,グローバル化による国際競争が日本の中小企業にあたえる影響が変化しつつあることや,ものづくりの現場のあり方を再考する必要があることについても,新たな着想を得ることができた。 これらの研究を進める過程においては,論文の執筆や投稿などを通じて成果を公開することにもつとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は日本の中小企業,とりわけものづくりに関わる企業が,新たな価値を発見して存続・成長していくための方策について,総合的に探っていくことを目的にしている。現在,中小企業の価値向上を支えるいくつかの側面に着目し,その手法を明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
中小企業の価値向上を支える方策について,引き続き対象を広げて探っていきたいと考えている。 具体的には,これまでの研究過程で着想を得たことを活用し,ものづくりの現場にスポットをあてること,国際競争力という切り口を取りこんでいくことを予定している。これらは,最近の中小製造業の経営環境の変化をふまえたものである。
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