研究課題/領域番号 |
22530360
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
弘中 史子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (10293812)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 経営学 / 中小企業 |
研究概要 |
本研究は,日本の中小企業が価値を向上させ,存続・成長していくための方策を,多様な側面から探ることを目的としている。一昨年度は,主として市場という角度から価値向上について研究し,どのような市場を選択し,そこでどのようにシェアを高めていくかを議論した。昨年度は,これに加えて人材面に着目し,次世代の経営を支えるトップマネジャーの育成を検討した。 本年度の研究は,概ね人材面と技術面の2面から構成されている。第一の人材面については,ものづくりの要となる生産現場のミドルマネジャーを考察対象とした。急速なグローバル化により,国内の生産現場はさらなる効率化を求められ,品質や納期の維持,環境保全など,マネジャーが対応しなければならない課題が増えている。そのため特に規模が小さい企業において,マネジャーの繁忙感が強まった。そこで生産現場の価値を維持・向上していく方策を,ミドルマネジャーの職場環境の改善を通して探った。 第二の技術面については,まず中小企業の業務プロセスに着目し,同業他社と同様の業種や製品,加工内容であっても,業務プロセスを工夫することで技術的な価値が向上し,収益力の改善にもつながることを示した。具体的には,自社の業務プロセスを変革するだけでなく,顧客のプロセスにまで踏み込む意義を強調し,顧客のプロセスを代行したり,顧客のプロセスを増強したりすることを提案した。 さらに,中小製造業と技術について,これまでの既存研究の流れを整理・評価するとともに,今後の課題を整理する作業も行った。 これらの研究を進める過程においては,学会報告や論文の執筆を通じて,成果を公開することにもつとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は日本の中小企業,とりわけものづくりに関わる企業が,新たな価値を発見して存続・成長していくための方策について,総合的に探っていくことを目的にしている。 これまで中小企業の価値向上を支える要素について,市場,人材,技術の三点を中心に検討してきたことから,(2)と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,中小企業の価値向上を支える方策について,各方面での検討を進めていく。 まず人材面については,組織面と関連づけて議論していくことを考えている。具体的には,組織内での対話がどのように人材育成を促し,価値向上をもたらす成果につながっていくのかについて探る。また技術面においては,グローバル化の進展が,日本の中小企業の技術の深化にいかなる影響を与えるかを検討する予定である。 さらに,研究の最終年度を迎えるにあたり,中小企業の価値向上を支える方策について,総合的に捉えていくことも意識している。
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