本研究では、研究蓄積が進んでいる知の共有と学術的研究の少ない規範の共有を、コミュニケーションを通じた共有という視点から統合的に捉えるべく、以下の3つのサブテーマに取り組んでいるが、初年度である平成22年度の各テーマについての成果は以下の通りである。 (a)規範の共有の典型としての経営理念浸透の測定尺度の確立 ・愛媛県の中堅企業で質問紙調査を実施し、その結果をもとに高尾ら(2009)の測定尺度の妥当性を検証した。また、経営理念の浸透に関する論文を連携研究者(王英燕、広島市立大学専任講師)と作成・投稿し、『組織科学』への掲載が決定した。 (b)知の共有に関する既存モデルを規範の共有に適用する有効性の見極め ・知の共有を促進するモデルとしてビジネスエコシステム・パースペクティブに注目し、EGOSにて共同で学会発表を行った。 ・規範の共有の典型として経営理念浸透に注目したレビュー論文を作成し、『経営哲学遜に掲載された。 (c)知の共有と規範の共有を統合的に扱える組織コミュニケーションのモデル提示 ・第三者への影響力を踏まえたコミュニケーション・モデルをフォーマライズしたシミュレーションを用いた論文を投稿し、『社会・経済システム』に掲載された。
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