本研究は今年度、日米の共同開発モデルの特性を明らかにするために、その比較研究を行った。特に、研究代表者が発案した企業間の共同開発の大阪モデルを理論的に分析し、その分析結果を、米国の共同開発モデルを比較することに焦点を置いた。 これにより、大阪モデルなどの日本型の共同開発モデルが持つ、いくつかの特徴を明らかにした。さらにそれを米国の共同開発モデルと対比することにより、そうした特徴が、共同開発を進める上でどのような効果を持っているかを解明した。この結果、日本型の共同開発が、米国などの共同開発にない独創性を持っていることが確認された。 これらの特徴をより活用し、共同開発を推進するためにどのような措置が必要であるかは、今後の研究課題となる。来年度においては、米国の共同開発モデルの特徴をさらに分析することにより、日本型と米国型の共同開発モデルのそれぞれの特性をどうしたら統合できるかを検討する。本年度の研究は、その準備段階に相当すると言える。 米国の共同開発モデルの研究においては、多くの事例研究がなされていると同時に、そのビジネスモデルが提示されつつあるが、それぞれのビジネスモデルがどのような意味を持つかの解明は、共同開発の研究全体における今後の研究課題である。また、それぞれのビジネスモデルの実証分析は今後、これまで以上に盛んに行われるようになるだろう。その研究成果を援用することで、本研究も発展することができると思われる。
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